複雑性PTSD、うつ、過敏性腸症候群(IBS)のきらめき日記

生きにくさはあるけれど、キラキラしたものも見つけてやっていこうよ、自分の人生。鬱と過敏性腸症候群を抱えてます。

退院後の病院で

先生の目を見て話すことは出来ない。

私は頭を下げて、病院に来れなくなった理由を話した。

わざわざ来て話す必要もなかった。病院に来ないで通院をやめてしまうことも出来た。

ただ誠意を持って、私に関わってくれたこの先生にはきちんと伝えておこうと思った。

入院中看護師に、皆が私の顔が変わったと噂していると聞いたこと。(この件は入院中にも先生に伝えてあった)

そのことが一番キツかったこと。

前回会った若い医師に、看護師に顔が変わったと言われたから来れない、と話してあったにも拘らず、二回目に会った時にも、なんで来れないんですか?!と言われたこと。

私が話している間、先生はこちらを見て、真剣に話を聞いてくれた。

「ごめんね!」

「教訓にするからね!」

熱血漢で誠実な先生は、そんな言葉をかけてくれた。

私は、○○さん(看護師)にはよく話を聞いてもらっていたんです。と言った。

先生は大きく頷いた。

「だからよけい言えなかった」

先生はショックを受けた顔をした。

「心配してるんだ!」

「○○さんが?」

「だけじゃなくみんな!」

そんなこともないだろうと思った。

話し終えると、

「緊張したー」

と息をついた。

先生は私の顔を覗き混んで、

「これからもこうやって一個一個言っていくんだよ。聞かない方がおかしいんだからね!」

そう言う先生の顔は必死で、私は胸を打たれた。

また(東京の)○○先生の所に戻りたいんですが。

いいですよ、先生は言い、私は礼を言って立ち上がった。

もごもごと、暑いので先生お体気をつけて、と言うと、

それはご丁寧に。

と先生も立ち上がった。

自分の体が無意識に、先生から逃げるのを感じた。

私はこの病院をこんなに生理的に嫌っているのだ、と思った。

半ば逃げるように診察室を後にした。

 

売店もあるこの病院に来る時には、いつものんびりしてから帰ることが多いのに、受け付けで診療費を払うと、すぐ外に出た。

 

十年近く通った病院だが、それ以来一度も行くことはなかった。