ハオルチアが今年も咲きました。
長い弦の先端に付いた小さな小さな蕾が、下から順々に毎日一つずつ咲いています。
今がハオルチアにとっての見せ場。
華の時。
私を見て。
咲いたよ。
と私に教えてくれます。
花は育て主のために咲く。
私のためだけに花を咲かせて、
ここにいるよ。
梅雨になったんだ。
もうすぐ夏がくるよ。
こんなに成長したよ。
と、体全体で表現してくれています。
この間、まだ以前の鉢に植わっていた頃。
ハオルチアの中心から、ぴょんと稲穂が覗いているのに気付き、いけない!今年もまだ植え替えてなかった!
と、あわてて洗面器ほどの大きさの鉢に植え替えました。
6月5日の金曜日。
その日をよく覚えているのは、気持ちの良い晴れの日だったから。
こんなに気持ちがいいことは初めて。
と、思った日だったから。
かわいそうに、まだ植え替えをしていないハオルチアは、丸い鉢の中で窮屈そう。
いくつかは葉の先端が少し枯れ始めてきていました。
ごめんね。
こんなになるまで気付いてあげられなくて。
前の鉢を逆さにして救出したら、土はほとんどなく、根っこがびっしり。
根と葉の間をほぐして新しい鉢に移し、土を隙間なく詰めて水をやり、やっとホッとしました。
新しい広い空間とたっぷりの水。
ハオルチアも嬉しそう。
ベランダで日差しを浴びながら緑に触れるのって、やっぱりいいな。
とてもいい気持ちでした。
こんなに気持ちがいいのは何年ぶりだろう。
風が吹き抜けて、24歳の時に自転車で遠出をした春の日を思い出しました。
それ以前もそれ以後も、春の思い出は何もありません。
「こんなに気持ちがいいのは初めて。
やっぱり緑に触れるのっていいな、って思って」
あとで先生と電話で話した時、先生にそう伝えました。
先生は黙って聞いていました。
弦が伸び出した時に植え替えてしまって大丈夫だろうか。
枯れてしまわないだろうか。
そんな心配はよそに、ハオルチアはそれからもぐんぐん弦を伸ばして、去年より一本多い6本の弦。
毎日花を咲かせるので、ベランダに出てみるのが楽しみです。
植物って凄いな。
生命力たくましい。
ちゃんと咲く時期を知っている。
黙っていてもしっかり育っている。
外界と接触しようと花を咲かせて猛アピールする。
ハオルチアともう20年一緒にいる。
20年前には三本の指位の大きさだったのに、洗面器いっぱいの大きさに成長した。
ベランダに出しっぱなしのハオルチア。
いつも忘れて水もやらない。
でも大きくなって、最近は毎年花を咲かせてくれる。
今の話し相手はお前だけだよ。
私には今、福祉の人しかいないから。
数年ぶりに連絡を取った知人からも、もう返信はない。
私が一人きり、ということが重いのかもしれません。
まだ具合の悪い私の存在が重たいのかもしれない。
返信がなければ何もわからないのです。
いつでも私に寄り添ってくれるハオルチア。
いつも忘れててごめんね。
お前だけは私のそばにいてくれるよね?