前向きな人は早寝をする。
明日があるからだ。
私に明日が来ても意味がない。
意味のない毎日の繰り返しだ。
無意味に日々が過ぎてしまっても、自分を責めることもない。
惰性に過ぎる毎日にもうすっかり慣れてしまった。
意味のある明日を迎える人に朝はやって来る。
過去を抱えて過ごす現在は残酷で、私の人生なのだとは今でも認めたくはない。
私にとっては明日は明日の意味ではなく、ただ時間の経過がそこにあるだけだ。
やり直しの効かない一度きりの人生にしくじって、私の未来は何も見えない。
やりたいことがいっぱいあった子供時代。
自分の可能性には期待しかなかった。
自分は何者かになれると信じていた。
努力もした。
楽しかった学校生活。
友達。
たくさん持っていた大事なものは、今はひとつも残っていない。
私があの時、助けて、と言っていたら助けてくれる人はいただろうか。
私は家庭の話を友達にしなかった。
私には家族がいなかった。
知らなかった。
だって、いたから。
名ばかりの。
十年前、家族なんていなかったのだと知った私は、やみくもに知り合いに助けを求めた。
その頃には連絡も途絶えていた、小学生の時の友人の家にも電話をかけた。
その時電話口に出てくれた彼女の母親に、
「母がいない」
と言った。
取り乱していた。
彼女の母親は言った。
「私がおかあさんになったげる。○○さんのこと知ってるから私がおかあさんになったげる」
こんな人がいるのかと思った。