今週のお題「お気に入りのTシャツ」
私は小学生の時、いつも半ズボンを穿いていた。
昭和50年代。
いつもデニムの半ズボン。
今の小学生は半ズボンを穿いていないが、あの頃の男子は皆、半ズボンであった。
みんな膝小僧を出して缶蹴りしていた。
私はスカートを穿くこともあったが、大体いつも半ズボン。
このスタイルがお気に入りであった。
いつもどこに行くのにも半ズボンで、大抵ショートヘア。
なので、よく男の子に間違えられた。
母と買い物に行った時、
「僕~、これ持ってね」
と八百屋のおじさんに言われたり、
休みに出かけた浜辺で、
「僕~、これに水入れてきてくれる?」
と、おじさんにバケツを手渡されそうになったり。
その度母が、「女の子なんです~」
と、言ってくれるのだが、私は平気。
男の子でかまわない。
むしろ間違えられて嬉しい。
男の子に間違えられちゃった。
って嬉しい。
間違えられやすい格好をしているからなのだが。
子供の服に無頓着な親で、大抵私は同じズボンを穿いていた。
小学3年か4年の夏休み。
私は友達とプールに出かけた。
棒アイス片手に、友達とおしゃべりしながらの帰り道。
大きな道路沿いで私達の横を車が走り抜けた。
前方から歩いて来たおじさんが、私の姿を見てこう言った。
「最近の女の子ってのはこういう格好をするのかぁ」
新しい時代がきたなぁ、とでも言わんばかりに。
その瞬間のことをよく覚えている。
その時、コカ・コーラのロゴが背中に大きくプリントされたTシャツを着ていた。
白地に真っ赤なCoca-Cola。
襟元と袖の部分も赤。
袖は肘近くまであり、袖先がラッパ状に開いていて風通しが良い。
このTシャツがすこぶるお気に入りで、当時どこにでも着て行った。
友人の誕生日会にも。
皆で一緒に乗った4人乗りのブランコに乗ってる写真。
しっかり座席を陣取った、私の背中にCoca-Colaのロゴ。
あのおなじみの流線形で「Coca-Cola」。
コカ・コーラは別に好きではなく飲まなかったが、英文字でCoca-Colaのロゴって素敵。
白地に赤って鮮やか。
袖口から風が通って気持ちがいい。
袖の半端丈ってイケてない?
その白Tシャツに、半ズボンを合わせたコーディネートがお気に入りだったのである。
白、赤、ブルーって爽やか。
カッコいい。
男の子だか女の子だかわからない私の、いわば中性的な気分にピッタリはまったのだった。
私は男の子になりたかった。
強い男の子に。
そんな気持ちを持っていたことに意味があったとは知らなかった。