この間、スイカを食べた。
スーパーのカットフルーツのコーナーで縦長のプラ容器に入って売っているのを見つけた。
皮の部分は除かれ、赤い果実のところだけが、細長い2等辺三角形にカットされて、容器に詰め込まれている。
スイカかぁ……。そういえば、この時期スイカを食べるのは体に良い、とネットの情報に書いてあったっけ。
具体的に何にいいか忘れてしまったが。
久し振りにスイカありかも!
かごに入れて他のものと一緒に買ってきた。
家に帰り、食事を済ませ、そうだ。スイカ食べようと思いたち、プラ容器の中に入っていたスティックで、スイカを刺して口に入れた。
口の中に広がる芳醇な味わい。
こ、これは美味い!
スイカの甘い水分が私の身体中の細胞に染み込んでいく。
今の私が欲していたものはこれだったのだ!
私はスイカなんてただの瓜かと思っていた。
違う!スイカは深い。
きっと、何年も食べていなかったという新鮮味と、その時私が食べたかったものが合致したのだろう。
人間、なんか食べたいんだけど何が食べたいのかわからない、ということが多々ある。
この時はスイカが正解だったのであろう。
そういうことってきわめて稀で、この飽食の時代、誰もが何となくものを食べているような気がする。
そういう私も、肉が食べたい、野菜が食べたい。とひどく漠然とした理由で生姜焼きやホウレン草のごま和えなどを食べている。ピンポイントで、茄子が食べたい!などということは滅多にない。
この時の私にはそれが起こった。
いつも食べている生姜焼きは食べても大した感動はないが、スイカには感動があった。
私は問う。
私は毎日の食事を漫然と、とっていないか。
食べられることのありがたさを感じているか。
食べる必要のないものばかり食べてはいないか。