複雑性PTSD、うつ、過敏性腸症候群(IBS)のきらめき日記

生きにくさはあるけれど、キラキラしたものも見つけてやっていこうよ、自分の人生。鬱と過敏性腸症候群を抱えてます。

東京まで3

「それは私は約束したことは守りますよ」

「先生、イヤなんですか?!」

私はせっかく3連続で病院にきたのに、先生が大した反応もしてくれず、むしろ渋っているかのような態度でいることが少し不満だった。

「いや、イヤじゃありませんよ。私は全ての人に…………平等です」

そして、目を閉じてしばらく考えると、女性カウンセラーK先生の名前をあげた。

K先生。とても珍しくはじめて耳にする苗字だった。

先生が前から私にと考えてくれていた先生に違いなかった。まるで、今考えたばかりというポーズをとっているが。

何しろ私達の付き合いは7年にもおよぶ。先生のことはだいぶわかっているつもりだ。

「じゃ、良いお年を」

まだ12月9日だ。早すぎる。私が笑うと、アメリカ滞在が長かった先生は、

「Merry Christmas and Happy new year」

と言い換えた。

先生に英語で挨拶された。

私は、早い〜〜と言い、なんだか気恥ずかしくて長いこと顔を伏せていた。

「早かったですか。すみません」

そう言ってくれた先生に何もこたえることができなかった。

 

自宅に戻って、先生にメールを送った。

「今日はどうもありがとうございました。

 

Merry Christmas and Happy new year」

 

東京まで2

東京に行ってきた。

約1ヶ月ぶりである。

先生に呼ばれて診察室に入る。

「おや、この間見た顔が……」

相変わらずとぼけて先生が言う。

ふふん、これで2回連続だぜ。

「本気じゃないですか!」

もちろん本気だ。

私が目の前の椅子(先生と同じもの。ひじ掛けでローラー付きの立派なもの)に失礼します、と腰掛けると、先生と目があった。

「○○さん、近いです!」

私はびっくりして思わず左足で床を蹴って、椅子を後ろに滑らせた。

治療者と患者にはある程度、距離が必要なのだろう。

「1メートルくらい?……」

私が腕を広げて距離を測ろうとしていると、また声がとんだ。

「近いです!」

私はまたびっくりして、さっきより強く床を蹴って後ろに下がった。

「近況は?」

何事もなかったようにパソコンに向かって、先生が聞く。

「近況は……

先生、暑い!」

部屋が暑くて、思わず声をあげた。

先生が立ち上がって受け付けに言いに

行ってくれたようだ。

戻ってきた先生に

「他の患者さんは寒いかも……」

と自信無げに言うと、

「他の患者さんも暑いって言ってます。ほら、私なんか半袖ですよ!」

見ると、先生はシャツ一枚で袖を肘の上までまくり上げていた。

外は寒いがこの部屋は熱帯だ。

「あと一回きたらカウンセリング」

先生がパソコンに打ち込んでいる。

「先生。私、カウンセリング怖い」

「大丈夫です。怖くないです」

いつになく優しく言う先生。

なんだかよけいに怖い。

 

 

 

 

東京まで

東京に行ってきた。7年ほど前からお世話になっている精神科の先生に会うためだ。今は、近くにあるからという理由だけで、近所の精神科に行っているが、こちらをやめて早く東京の先生のところに戻りたい。

近所の精神科にはもう10年ほどかかっているが、ちっとも良くなる兆しがない。先生も四人目だ。

鬱の治療になんでこんなに時間がかかるのか。

この10年、私には様々なことが襲いかかり、そして何も訪れなかった。

過酷な10年だった。

東京の先生に診てもらうためには、東京に行かなければならない。

これが私にとって最大のハードルだ。

バスや電車が怖い今の私にとって、東京に行く=ニューヨークに行く、に匹敵するくらい大変なことだからだ。

今回と前回は父の車に乗せて行ってもらった。これがまたキツい。

車に乗って首都高を行くのは、トイレがない、ということ。

安定剤を飲み、何事もないよう祈るのみ、だ。ここまでするのは、先生に課題を与えられているからだ。先生の病院に行くこと。それを月一回、3ヶ月続けられたらこちらに転院してよい、と。だから私は鼻息荒く頑張る。

先生は言う。

「今日は何しにいらっしゃった?」

ふん、とぼけて〜(笑)

私はあと一回だから続きで来ました、と答えた。

夏から下痢をしていたことを話す。先生はイリボーは良いと言う。

ラミクタールという薬をそちらで出してもらったら?と言い、私が持参したお薬手帳に、ラミクタールと書いてくれた。

ちなみに近所の先生は、東京の先生の存在を知らない。

他の病院で教えてもらった薬を出して下さいなんて……。

「言いにくいなぁ……」

と私が言うと、

「不意に閃いた、とかさ」先生は笑って言う。

「降りてきた、とか?」私。

「降りてきて、手が勝手に書いてました、とかさ」(笑)

そんなうまくいくもんかい!

そして最後にこう言う。

「じゃ、あと2回ね」

「ええっっ!!あと1回じゃ…」

 

夏場に行けなかったので、今まで行った3回は、リセットされてしまったのである。

くそ〜〜!!あの狸オヤジ、絶対また行ってやる〜〜(><)

 

紅葉の季節に

桜の木々も色づいて、いつの間にか秋もすっかり深まった。

喧騒の夏が過ぎて、少しさびしい気分になる季節である。

はてなブログにきて、ここのところ行き詰まっている。

何をどう書けばいいかまだ要領が掴めずにいる。

そこで、まずブログの題名から「過敏性腸症候群」を外すことにしてみた。なんだかその題名に引っ張られてしまっているところもあるので。私としては他のことも書きたいのに、頭に「過敏性〜」と付くと他の発想が出来なくなっているところがあると思うからだ。私はあまり柔軟でないのだ。

題名からひとつ単語を外すくらい大したことではないが、少し気分が変わればと思っている。それにまた付けることもできる。

 

イリボーは継続して飲んでいる。

薬局によれば、デプロメールとの併用も大丈夫とのこと。

症状もだいぶおさまってきてほっとしている。

春と秋は好きな季節だ。

鬱がもう少し良くなったら、ちょっとおしゃれをして紅葉する小路をゆっくり歩いてみたい。

イリボー

先週、総合病院の消化器内科に行ってきた。

8月の半ばから下痢がおさまらないからだ。予約してあるとはいえ、内科は午後も混むなぁ。

その間に看護師さんがきて、血圧と脈拍、体温を計る。

36.9度。予想外に微熱があって、ちょっと驚く。

眠気を催すほど待って、やっと呼ばれる。

若い、感じのいい男の先生。

机の上にこの間撮ったレントゲン写真が貼ってある。

過敏性腸症候群

やはり……

イリボーという薬が出た。

イリボー。妖怪のような名前だ。

妖怪イリボー。うん、しっくりくる。

イリボー。ググってみた。

もともとは男性向けだったらしいのだが、女性にも効果があったため今は女性にも処方しているそうだ。

ムム……なになに?

抗うつ薬フルボキサミン(デプロメール.ルボックス)との併用により、この薬の血中濃度が上昇し、副作用が増強するおそれがあります。

って!!

めっちゃ私やん!デプロメール!こんなにピンポイントに?

で、副作用とは何かと思うと……

アナフィラキシー、気持ちが悪い、冷や汗、しびれ、腹痛、虚血性大腸炎

めっちゃ怖いやん!

明日、薬局に電話せんとアカンわ〜〜(><)

本たち

私が高校に行けずにいた間、支えてくれたのは、本だった。

自室にこもって皆が寝静まった深夜、本を開いた。

本には困ることがなかった。親しくさせていただいた中学の国語の先生から読み終わった本を大量にもらい受けていたのである。

それらは、いかにも電車内で軽く読めそうなエッセイや短編集だった。

100冊以上はあったと思う。

10代の私はそれらを貪るように読んだ。

一年に100冊以上読んだこともあったので、17の終わりには読む本がなくなって、横浜の本屋に買い出しに行った。

ティファニーで朝食を

罪と罰

青が散る

やはり自分が選ぶ本は自分の琴線に響くものが多かった。

ティファニー〜で私は初めてカポーティを知った。

プレイガールのエンターテイメントものから、自身のナイーブでセンチメンタルな物語まで、幅を持つカポーティとは何者か、と思った。

この時から今でも、カポーティに関する興味は尽きない。

日本人

最近、道端に痰を吐くおじさんがいなくなった。

あの人達はどこに行ったんだろう。と思っていたら、近所の家にいた。

その人は深夜遅く軽トラで帰ってきて、車のドアをバン!と閉める。そこで豪快に音を立てて痰を吐く。家に入る時も構わず、扉をバン!と閉める。

家の中にいる私はそれらの音が聴こえると、今日も帰ってきたな、と思う。そんなおじさんを少し懐かしくも思う。

昔はあんなおじさん、いっぱいいた。みんなどこに行ってしまったんだろう。

以前、ネットにこんな記事が載っていた。

ある中国人がヨーロッパのホテルに滞在した。そこには「痰を吐かないでください」と貼り紙がしてあった。中国語で書かれていたので、中国人にあてたものらしい。そして、その中国人は、ホテルの従業員達から日本人と思われていた。なぜなら、痰を吐かなかったから。

このエピソードを読んで、いったい日本人はいつからそんなにお上品になったのだろう?と不思議に思った。

勿論、痰を吐くことはいけないことだけど、いつから日本人はそんなに世界から尊敬される民族になったんだ??

東京オリンピックに向けて、海外からぞくぞくと観光客がやってくるだろう。おもてなしのオリンピック。私達は世界の模範であることに息切れしないだろうか。